地域別事例紹介

九 州



平成21年度 農林水産祭
日本農林漁業振興会会長賞受賞(水産・経営(流通・消費拡大))

▼浜の奥さんで結成 漁村女性起業化グループ「めばる」
 大分県佐伯市鶴見は、九州最東端の鶴見半島の北側にある町で、まき網漁が盛んで、巻き網では県内一の水揚げを誇っています。
 桑原さんが代表を務める漁村女性起業化グループ「めばる」は、漁師の主婦を中心に平成16年に結成されました。桑原さん曰くその時に心境は、「浜でとれた小さな魚は、無駄になってしまうものも多く、それらを食卓に並べることはできないか。全部使わないともったいない。魚の命を大切にしたい。」と思い「めばる」を立ち上げました。現在メンバーは10名、主に6人が中心となって活動しています。
 活動当初は、トラックなどを使って活魚の移動販売をしたり、イベントなどに参加し、魚の加工品などを販売しているだけでいたが、お客さんや子供達と触れ合うようになり、日本人の魚離れが進んでいる事を痛感したそうです。
 そこで、それからはただ販売するだけではなく、魚の旬やおすすめの料理、調理法などできるだけ魚について知ってもらう努力を心掛け活動するようになりました。
 元々は漁師の奥さんとして主婦業をしていたメンバーのみなさん。その活動の参考にしたのが、県内の農村のグループでした。農業と水産業と一見関わりあいがないように思えますが、そこは同じ食べ物を作るもの同士。情報を交換しあいました。その時のことを桑原さん達は、「私たちに比べ農家の人はよく働いているし勉強もしている。私たちも負けられない。」と思ったそうです。
 そして、「めばる」が考えたのが、漁師の各家庭で食べていた味「ごまだし」の商品化でした。「ごまだし」とはとれたての魚を焼いて身をほぐし、ごまを加えて醤油やみりんで味付けし、煮詰めたペースト状の調味料の事。地元では茹でたてのうどんに乗せたり、ご飯に乗せてお茶漬けにしたりして食べるのが、一般的な食べ方です。
 この「ごまだし」は、地元の会社と協力し常温保存可能な「大分郷土料理ごまだしうどんセット」、鶴見ではあまり食べられていなかったシイラを使った「シイラのごまだし」などを開発しました。

▼常に前を向き、鶴見の新名物を開発中!
 この活動は6年目を迎えました。はじめは喫茶店の小さな調理場で作業を行っていましたが、昨年自分たちで稼いだお金で、念願の加工場を作りました。徐々に「ごまだし」の知名度が上がり、地元だけではなく福岡や東京などの物産展などに出展し、平成19年には農林水産省の「農山漁村郷土料理百選」にも選ばれました。、全国の人に「食べてみたい・食べさせたい・ふるさとの味」として大きく評価されることになりました。
 その結果、今では佐伯の名物として定着し、地元の企業も「ごまだし」を特産品として売り出しているほどです。もちろんはじめから「ごまだし」がうまくいったわけではありませんが、「めばる」のメンバーは、常に代表の桑原さんを中心に下を向く事はなく、「これがダメったら、次は○○をしてみよう!」と常に前向きに何事にも取り組み、現在に至ります。

▼ごまだしの次は「いかコロッケ」でヒットを狙う
 「ごまだし」の次に、さらなるヒットを狙って、新商品「いかコロッケ」を開発。コロッケに使っているイカも、地元では安くて人気のなかった「スルメイカ」を使って、じゃがいもと玉ねぎと混ぜ合わせ、商品として売り出しはじめました。
 つい先日も、九州で行われた「B級グルメ」のイベントに参加し、「ごまだし」や「イカコロッケ」をアピールしてきたとか。 今後について桑原さんは、「長く続けるためには、きちんとした賃金を払い、地域の雇用の場としたい。そしてこの活動をいずれは地域の若い人たちへ引き継いで行ければと思っています。しかし、次の新しい世代やグループが出てきてバトンタッチするまでは、大分県を代表する漁業の女性企業化グループとしてまだまだ頑張ります。」と力強く元気に明るく語っていくれました。